記事更新日:2026年08月04日
記事公開日:2025年03月25日
ウェブ上に公開されている資料の中から、拠点のデザインが優れているスライドを10枚選びました。
この記事では、事例を「おしゃれ/シンプル」のような印象ではなく、レイアウトの型で5つに分けています。拠点スライドで最初に決めるべきは配色でもフォントでもなく、「そもそも地図を使うのか」だからです。拠点が3つの会社と46拠点の会社では、選ぶべき型がまったく変わります。
「もっと拠点のスライドを見たい!」と言う方は、拠点のスライドデザイン一覧もご覧ください。
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まず、5つの型の使い分けを整理しておきます。拠点がいくつあるか、そして拠点の何を見せたいかで、選ぶ型が決まります。
| 型 | 得意なこと | 向いている場面 | 拠点数の目安 |
|---|---|---|---|
| 地図+ピン型 | 位置関係を正確に伝える | 拠点名を1つずつ読ませたいとき | 5〜10拠点 |
| 地図の色分け型 | 進出範囲の広さを見せる | 都市ではなく国・地域の単位で語りたいとき | 3カ国以上 |
| 地図+写真型 | 拠点の実物を見せる | 建物や施設そのものが資産のとき | 5〜30拠点 |
| 地図を使わない型 | 1拠点あたりの情報を厚くする | 拠点が少なく、中身で語りたいとき | 2〜4拠点 |
| 拠点の推移型 | 増え続けていることを見せる | 出店・開設のスピードが強みのとき | 増加中なら数は問わない |
迷ったら、まず「地図に点を打って、読者が何を得るか」を考えてください。得られるものが「東京と大阪にある」だけなら、それは文字で書けます。地図が要るのは、位置関係そのものが情報になるときだけです。
地図に点を打ち、そこから拠点名を引き出す、もっとも使われている型です。拠点1つずつに名前を読ませたいときはこの型になります。

引用元:https://speakerdeck.com/sansan33/sansan-company-profile
Sansanの拠点のスライドデザインです。この型の基本形にして完成形といえる1枚。
日本地図は淡い水色のベタ塗りで、県境も市境も描かれていません。輪郭だけです。拠点はそこに置かれた小さなグレーの点。
注目したいのは、拠点名が1つも地図の上に載っていないことです。7つのラベルはすべて地図の外の余白に置かれ、細いグレーの直角の折れ線で点とつながっています。左に「Sansan長岡ラボ」「Sansan Innovation Lab」「Sansan神山ラボ」「福岡支店」の4つ、右に「表参道本社/Sansanパラシオ」「中部支店」「関西支店」の3つ。線を斜めではなく直角にしているので、線同士が交差せず、ラベルの頭も左右できれいに揃います。
そして海外拠点は地図に載せていません。右下に薄いグレーのボックスを置き、「海外拠点(グループ会社)」としてシンガポール・フィリピン・タイの3件を、国名の下に法人名を添えてリストにしています。海外3拠点のために世界地図に切り替えたら、国内の7拠点が豆粒になります。それを避けた判断です。色を使っているのは地図の水色、見出し左の赤い縦棒、海外拠点の見出しの青の3つだけでした。

引用元:https://speakerdeck.com/kitchhike/kitchhike-company-deck
KitchHikeの拠点のスライドデザインです。Sansanが点で示したところを、こちらは社員の顔写真に置き換えています。
左に「地域リモート制度」の小見出しと「全国どこからでも働ける」の大見出し、説明が2段落。右に薄いグレーの日本地図があり、その上に円形に切り抜いた社員の顔写真が13枚、北海道から沖縄まで散らして置かれています。
やられた、と思ったのは地名の出し方です。書かれているのは「Assabu」「Ueno」「Fukuoka」の3つだけ。オフィスがあるのはこの3拠点で、残り10枚の写真には地名がありません。つまり地図に置かれているのはオフィスではなく、メンバーが住んでいる場所です。地名のある写真とない写真という違いだけで、オフィスと居住地を説明なしに区別しています。
説明文にも「経営陣を含め北海道から沖縄まで全国各地でメンバーが活躍中」「自身や家族のライフステージやライフスタイルに合わせて住まう地域を選ぶ『やわらかな定住』の実践もサポートしています」とあります。拠点の話をしながら、実際には働き方の話をしている1枚でした。顔写真はすべて屋外や自宅らしき場所で撮られていて、オフィスの写真は1枚もありません。
都市に点を打つのではなく、進出している国や地域そのものを塗る型です。1拠点ずつではなく「どこまで広がっているか」を見せたいときに使います。

引用元:https://speakerdeck.com/gatechnologies/hui-she-shi-ye-shuo-ming-zi-liao
GA technologiesの拠点のスライドデザインです。世界地図を正方形のタイルで描いています。
タイルの色は通常がグレー、進出している国だけがシアン。国の形をタイルの集まりで近似しているので、輪郭が多少ずれても成立し、塗り分けもタイル単位で済みます。世界地図を正確なパスで描いて国ごとに塗り分ける手間を、まるごと省いた作りです。
そして国名の下に、小さく進出年が添えられています。JAPANが2013年〜、CHINA・HONG KONG・TAIWANが2020年〜、THAILANDが2022年〜、USA・MALAYSIAが2024年〜。7カ国を並べただけなら「7カ国に展開している会社」ですが、年が入ることで「2020年以降に一気に増やしている会社」という別の情報が乗ります。同じ7カ国でも読者が受け取るものが変わります。
右下、太平洋にあたる空白には「7つの国と地域でビジネス展開/国内外で50拠点以上」を極太で大きく置き、7と50だけさらに大きくしています。世界地図は必ず海の部分が余りますから、そこをコピーの置き場にしている。右下隅には「2024年10月時点。」の注記もあります。

引用元:https://speakerdeck.com/anker_jp/anker-japan-corporate-deck-2026
アンカー・ジャパンの拠点のスライドデザインです。GA technologiesが7カ国だったのに対して、こちらは46拠点。数が一桁多いので、同じ型でも解き方が変わります。
まず色を捨てています。進出国は黒でベタ塗り、それ以外は薄いグレー。2値しかないので、ロシアからブラジルまで何十カ国塗られても画面は静かなままです。色を増やして地域別に塗り分けたくなるところですが、そうすると46個のピンと色が競合します。
拠点都市には水色の丸ピンを打ち、細い紺の引き出し線で都市名を出します。ここでの工夫がラベルの束ね方です。「ミュンヘン / フランクフルト / デュッセルドルフ / オランダ」「上海 / 蘇州 / 杭州」「ホーチミン/マレーシア」のように、近い都市はスラッシュで1つのラベルにまとめている。46個のラベルを個別に置けば地図が文字で埋まりますが、束ねることで20個ほどに減っています。
そして「東京」だけ文字サイズを上げて太字にしています。日本法人の資料なので、読者が最初に探す拠点を目立たせている。下部中央には黒帯で「46オフィス / グローバル従業員数 約8,000人」、上部の説明にも「(2025.12月時点)」と時点が入っています。
地図と実物の写真を組み合わせる型です。建物・工場・店舗そのものが資産である業種は、地名を書くより写真を見せたほうが早く伝わります。

平和不動産の拠点のスライドデザインです。今回の10枚でもっとも情報量が多い1枚で、6エリア・約30件の物件名・ビル写真7枚が収まっています。
これだけ詰めて読めるのは、地図を大きくしていないからです。日本地図は中央にごく小さく、淡いグレーで置かれているだけ。載っているのは6都市の青い点のみで、地名も物件名も地図の上にはありません。主役は地図ではなく、その周りに置かれた情報です。
各点からは水色の折れ線が伸び、【大阪エリア】【札幌エリア】【福岡エリア】【仙台エリア】【名古屋エリア】【東京エリア】の見出しと保有物件のリストにつながります。エリア見出しは青、物件名は黒。東京エリアだけ物件が13件と突出しているので、そこだけリストを2列に割って、他のエリアと高さを揃えています。
写真7枚は紙面の四隅と左右端に配置され、それぞれに「ホテルブライトンシティ大阪北浜」「道銀ビルディング」「東京証券取引所ビル」といったキャプションが付いています。地図の外周を額縁のように使う配置です。上部には「全国の主要都市において、証券取引所ビル・オフィスビルを中心に資産を保有(2024年3月末時点)」の1行が置かれています。

引用元:https://www.mipox.co.jp/dcms_media/other/FinancialResultsBriefing_2Q_FY2025.pdf
Mipoxの拠点のスライドデザインです。平和不動産が写真を地図の外に置いたのに対して、こちらは写真を地図の中に埋め込んでいます。
拠点の写真を円形にトリミングし、それ自体をピンとして地図の上に置く。ドットで描いた世界地図と日本地図が横に並び、中国(上海)、中国(深圳)、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インド、アメリカ、そして日本の栃木・山梨・広島の拠点が、すべて円形写真で示されています。
写真を円で統一しているのが利いています。素材はオフィスビルの写真も工場の写真もありますが、円に切り抜けば全部が同じ形になり、並べても崩れません。四角のままだと縦横比の違いがそのまま出てしまうところです。
各写真には小さな色付きのバッジが重なっていて、ピンクが工場/オフィス、オレンジが営業拠点。右上に凡例があります。バッジの中にはMST・MIT・MMS・MAI・MICという海外法人の略号が入っています。そして中央には自社ロゴと「営業拠点」の見出しを置き、仙台・東京・金沢・名古屋・浜松・大阪・広島・高松・福岡・熊本の10都市を2列の文字だけで並べています。写真を用意できた製造拠点は写真で、営業拠点は文字で。全拠点分の写真をそろえずに済ませる現実的な設計です。
地図を1つも使わない型です。拠点が少ない会社ほど、地図を省いて1拠点あたりの情報を厚くしたほうが伝わります。

引用元:https://speakerdeck.com/raksulrecruiting/raksul-introduction
ラクスルの拠点のスライドデザインです。地図が1つもありません。
あるのは「オフィス」という見出し、「2025年2月現在」の日付、虹色のグラデーションの細い線、そして同じサイズの写真3枚だけ。各写真の下に拠点名の太字と住所が置かれています。麻布台オフィス(本社)、京都オフィス、金沢オフィス。住所は「東京都港区麻布台1丁目3-1 麻布台ヒルズ 森JPタワー 19階」と階数まで書かれています。
拠点が3つなら地図は要らない、という判断がはっきり出た1枚です。日本地図に3つ点を打っても、読者が得る情報は「東京と京都と金沢にある」だけ。それは文字で書けば済みます。地図を省いたぶん、写真を大きく、住所を全文載せられている。エントランスの写真とオフィス内の写真が混ざっているのに違和感がないのは、3枚とも同じサイズ・同じ間隔で並んでいるからです。
本社の下には「※2025年2月12日より移転(移転準備にともない、これまでの本社・目黒オフィスは2025年1月31日をもって営業を終了しております。)」という注記があります。移転直後の資料であることを隠していません。

引用元:https://speakerdeck.com/fourdigit/company-profile
フォーデジットの拠点のスライドデザインです。ラクスルが写真で拠点を見せたのに対して、こちらはイラストで見せています。
左上に自社ロゴを巨大化した黒い形、右上に「Studios」の大きな文字。下半分に2列×2行で4拠点が並びます。各拠点にはモノクロのイラストが添えられていて、Tokyoはスカイツリーと富士山、Bangkokは象、Ho Chi Minh Cityはノンラーをかぶってバイクに乗る人、Kuala Lumpurはハイビスカスと鳥です。
地図を出さずに、その都市を象徴するモチーフだけで場所を伝えている。「Bangkok」の文字を読まなくても、象を見た時点でどのあたりの話か見当がつきます。世界地図を出して4カ所にピンを打つより、はるかに速い。
イラストはすべてモノクロで、網点のようなテクスチャがかかっています。色を使っていないので、象・バイク・鳥・山という題材のバラバラな4つが、1つのシリーズとして揃って見えます。そして説明文には「FOURDIGIT(THAILAND)Co., Ltd. はフォーデジットグループの子会社として、2019年10月に設立しました。」と、法人名・設立年・その拠点の役割まで書かれている。都市名とイラストだけで終わらせず、地図を省いたぶんの余白を説明に使っています。
「いまどこにあるか」ではなく「どう増えてきたか」を主役にする型です。出店や開設のスピードそのものが強みなら、地図より先にグラフを描くほうが伝わります。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250627/140120250623596005.pdf
ASNOVAの拠点のスライドデザインです。左に「展開拠点数」の積み上げ棒グラフ、右にドットで描いた日本地図。左が時間、右が空間という構成です。
棒グラフは2021年3月期から2025年3月期までの5本。白が直営機材センター、ピンクがASNOVA STATIONパートナー拠点で、合計は17→17→27→36→39と伸びています。各棒の上に合計を大きく置き、最新の39拠点だけ「合計」の文字ごと赤にして、着地点がどこかを示しています。
右の地図には▲(直営機材センター)と○(パートナー企業拠点)がプロットされ、下に凡例。ここが上手いところで、棒グラフの白/ピンクと、地図の▲/○がまったく同じ2区分になっています。片方を読めばもう片方も読める。グラフと地図が別々の分類を持っていたら、読者は2回覚え直すことになります。
そして地図には地名が1つも書かれていません。39拠点の地名を書き込めば潰れるので、地図の役割を「散らばり方の説明」だけに絞っている。その代わり右上に「主要都市にある直営拠点から距離の遠い地域・エリアをパートナー企業がフォロー」という一文があり、▲と○がなぜその配置になっているのかを言葉で回収しています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250618/140120250618592611.pdf
yutoriの拠点のスライドデザインです。ASNOVAが年次5本だったのに対し、こちらは四半期12本です。
2023年3月期1Qから2025年3月期4Qまで、店舗数が1→1→4→8→13→13→19→23→26→31→35→42と積み上がっていきます。同じ3年間でも、年次で刻めば3本、四半期で刻めば12本。本数が増えるほど階段は細かくなり、伸びが急に見えます。棒は緑の濃淡3段階(yutori店舗数/hr店舗数/GDC店舗数)で、背景には薄い緑の上昇矢印が斜めに走り、最新の4Qだけ濃い緑で塗って強調しています。左下の「2022/4/1より出店開始」の吹き出しで、3年弱で46店舗まで来たことが分かります。
右の日本地図は、出店した都道府県を緑で塗りつぶす方式です。点ではなく面。アパレルの店舗は東京・名古屋・大阪に集中するので、点を打てば重なって潰れます。県ごと塗ってしまえばその問題が起きません。
そこから引き出し線を伸ばし、緑のラベルボックスに店舗名を列挙しています。「90 原宿」「YS 新宿ルミネエスト」「HTH 渋谷109」のようにブランド略号付きで、東京だけで13店舗分が1つのボックスに入っています。ASNOVAが地名を書かなかったのと正反対で、こちらは全46店舗名を書き切っている。アパレルは店舗そのものが読者の接点なので、店名を出す意味があります。最下部には「※1 各四半期末時点で当社グループが運営する常設店舗(1か月以上営業している店舗)の合計数。連結外の子会社の店舗も含む。」と、何を1店舗と数えたかの定義まで置かれていました。
今回は「拠点」の高品質なスライドを10つ紹介しました。
5つの型を見てきましたが、最初に決めるべきは地図を使うかどうかです。ラクスルが3拠点で地図を省いたように、地図に点を3つ打って得られる情報は文字で書けます。地図が必要なのは、位置関係そのものが情報になるとき(Sansan)、進出範囲の広さを見せたいとき(GA technologies・アンカー・ジャパン)、建物や工場が資産のとき(平和不動産・Mipox)に限られます。
そしてもう1つ。拠点は「いま何個あるか」だけの話ではありません。ASNOVAとyutoriは拠点数の推移を主役に置き、増え続けている会社であることそのものを伝えていました。出店や開設のスピードが強みなら、地図より先にグラフを描いてください。
まだもう少し別のデザインを見たい!と言う方は、拠点のスライドデザイン一覧もみてくださいね。
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