記事更新日:2026年08月04日
記事公開日:2024年07月18日
ミッション・ビジョンのスライドは、他のどのページとも事情が違います。図解する要素がほとんどなく、主役は言葉そのもの。だからこそ「その言葉をどう置くか」だけでスライドの印象が決まります。
この記事では、実際に公開されている会社紹介資料・IR資料の中から、ミッション・ビジョンのデザインが優れているスライドを15枚選び、5つのレイアウト型に分けて紹介します。掲げている言葉の長さや、写真・イラストの素材があるかどうかで選ぶべき型は変わるので、まず自分の条件に近い型から読んでみてください。
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今回集めた15枚を並べてみると、レイアウトはおおよそ5つに整理できました。優劣ではなく、掲げている言葉の長さと、手元にある素材によって向き不向きが決まるという関係です。
| 型 | 得意なこと | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 全画面タイポ | 言葉そのものの強度を最大化する | 短く言い切れるミッションがあり、一言で覚えてもらいたいとき |
| 二分割・並置 | ミッションとビジョンの違いと繋がりを同時に示す | 2つ以上を1枚で説明する必要があるとき |
| 写真・実景背景 | 言葉に現実の手触りを与える | 事業の現場や成果物を写真で見せられるとき |
| イラスト・世界観 | 抽象的な理想を具体的な情景に変換する | 言葉が抽象的で、文字だけでは像を結びにくいとき |
| 階層・体系図 | Purpose / Mission / Vision / Value の上下関係を整理する | 掲げている要素が3つ以上あり、関係の説明が必要なとき |
自分の条件に近い型を決めてから、そのセクションを読み進めてみてください。
写真もイラストも図もなく、文字だけで構成する型です。逃げ場がないぶん言葉の強度がそのまま出るので、短く言い切れるミッションを掲げている会社に向いています。

引用元:https://speakerdeck.com/campfire/zhu-shi-hui-she-campfire-hui-she-shao-jie-zi-liao
CAMPFIREのミッション・ビジョンスライドです。タイポ型の基本形として、まずこの構成を押さえておくと応用が利きます。
白地に、極太ゴシックのミッション3行が左揃えで置かれ、画面の上3分の2を占めています。目を引くのは本文までコーポレートカラーのオレンジで組んでいる点です。ふつう本文は黒か濃いグレーにするところを、見出しと同じ色のまま太さと大きさだけを落としている。結果として、使われている色は右上のロゴの黒と、このオレンジの2色だけになりました。ミッションの説明文はやや長めですが、色が1つに揃っているので圧迫感がありません。

引用元:https://speakerdeck.com/helloinc/company-deck
ハローのミッション・ビジョンスライドです。CAMPFIREが色で押したのに対して、こちらは削って余白で押しています。
背景はほぼ黒に近いチャコール。中央に白の丸ゴシックで「Goodbye past, Hello future.」の2行だけが大きく置かれ、その下に日本語の補足が3行あります。文字が占めている面積は画面の3割ほどで、残りはすべて余白です。書体が角ばったゴシックではなく先端の丸いラウンド体なので、黒背景でも硬すぎず、社名の「Hello」の親しみやすさと揃っています。右端の縦組み「About Us」と細い罫線が、余白の広さをただの空白ではなく設計されたものに見せています。

引用元:https://speakerdeck.com/pivot_inc/pivot-culture-deck
PIVOTのミッション・ビジョンスライドです。ミッションが「日本をPIVOTする」という10文字しかありません。
社名をそのまま動詞として使っているため、ミッションを読むと社名が頭に残り、社名を見るとミッションを思い出す関係になっています。デザイン側もそれに合わせて、白地に黒の極太1行だけを中央に置き、装飾を一切足していません。唯一の色は画面最下部を横切るマゼンタの帯で、そこにPIVOTのロゴが白抜きで乗っています。色を1か所に集約したことで、本文エリアの白と黒が保たれたまま、ブランドカラーも主張できています。下の説明文が中央揃えなのも、見出しの中央配置と揃っていて破綻がありません。
ミッションとビジョンを1枚に収める場合、左右に並べるのが基本です。並べるだけで「別のもので、かつ関係がある」ことが構図から伝わります。

引用元:https://speakerdeck.com/schoo/schoo-for-business-inpakutorepoto2025
Schooのミッション・ビジョンスライドです。二分割型の教科書と言っていい構成です。
ベージュの背景に、MISSIONとVISIONを左右等分で配置しています。丁寧なのは左右の見出しをどちらも2行に揃えている点です。「世の中から卒業をなくす」と「『あたたかい革命』が起こり続ける社会を残す」では文字数がかなり違いますが、文字サイズを微調整して2行に収めることで、視覚的な重さが揃っています。下の説明文も左右でほぼ同じ行数。右上に置かれた白い線画の矢印と曲面のグラフィックだけが唯一の装飾で、ベージュ1色の画面に軽さを足しています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260331594011.pdf
ナイルのミッション・ビジョンスライドです。Schooの構成に、写真という要素をもう1枚重ねた形になります。
左右を角丸の写真カードにして、それぞれ全面に写真を敷いています。左のMISSION「幸せを、後世に。」は手のひらに白い花を乗せた接写、右のVISION「日本を変革する矢」は灰色がかった都市の俯瞰。手元の近景と都市の遠景という距離感の違いが、そのまま「使命」と「理想像」の性質の差になっています。もう一つ丁寧なのが英語ラベルの扱いで、「MISSION」の下に小さく「- 社会的使命 -」、「VISION」の下に「- 中長期的な理想像 -」と定義が添えられています。読者がMVVの用語に詳しくなくても迷いません。

引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/9166/ir_material_for_fiscal_ym/152154/00.pdf
GENDAのミッション・ビジョンスライドです。左右に並べるところまでは同じですが、2つの間に「=」を置いたのがこの一枚の発明です。
「世界中の人々の人生をより楽しく」というAspiration【大志】と、「2040年 世界一のエンタメ企業に」というVision【野望】が、大きな白い等号で結ばれています。並べただけなら「2つある」で終わるところを、等号1文字で「この2つは同じことを別の角度から言っている」という主張になりました。配色も徹底していて、黒地に金の細枠、ラベルは金、本文は白、そして強調したい「楽しく」「世界一の」だけが金。金を強調色として最後まで守り切っているので、黒地でも読みづらさがありません。
写真を全面に敷き、その上に言葉を重ねる型です。抽象的な理想論に見えがちなミッション・ビジョンに、現実の手触りを持ち込めます。

大林組のミッション・ビジョンスライドです。写真背景型の完成形で、やられたと感じた一枚です。
画面全面が、木造のファサードと間接照明が印象的な建築の夜景写真。そこに「MAKE BEYOND つくるを拓く」というスローガンが白抜きで乗っています。強いのはこの写真が自社の施工物件であることです。ストックフォトの都市風景でも構図としては成立しますが、背景が自社の施工物件であれば、スローガンは宣言ではなく実績の説明として読まれます。文字は写真の中でも暗く落ち着いた左側に置かれ、明るい間接照明の部分を避けています。英語のスローガンを太いゴシック、日本語を細い書体にして、大きさではなく太さの差で主従をつけているのも丁寧です。

引用元:https://www.slideshare.net/KentaroSaiki/youtrust
YOUTRUSTのミッション・ビジョンスライドです。自社の写真素材がなくても写真背景型は成立する、という例になります。
下半分が東京タワーを中心とした都市の俯瞰、上半分は空。ここで工夫されているのが、写真全体にターコイズのグラデーションを被せて、空を無地の面に変えている点です。もとの写真では細部が写り込んでいたはずの空が単色のグラデーションになり、文字を置くための広い余白が生まれました。「日本のモメンタムを上げる 偉大な会社を創る」という2行は、その空の部分にすっぽり収まっています。写真と文字が場所を取り合っていません。色を1色に統一したことで、都市の雑多な情報量も抑えられています。

引用元:https://speakerdeck.com/sevendex/seven-dex-culture-book
SEVEN DEXのミッション・ビジョンスライドです。写真の上に手描きのグラフィックをもう1層重ねた変化球です。
背景は渋谷センター街の実景写真で、看板や街灯がそのまま写り込んでいます。そこに朱色の塗りつぶしと、はみ出した線のらくがきが重ねられ、その上に「日本のシーンを沸き起こし、閉塞感に風穴をあける」という言葉が置かれています。この朱色の塊は、文字の背景を確保する実務的な役割と、「沸き起こす」という言葉のエネルギーを絵にする役割を兼ねています。写真の彩度が落としてあるので、朱色だけが浮き上がる。整った写真背景に、あえて手描きの乱れを足すという判断が、掲げている言葉の内容と一致しています。
ミッションの言葉が抽象的で、文字だけでは像を結びにくいときに有効な型です。制作コストはかかりますが、一度作れば長く使えます。

引用元:https://speakerdeck.com/kauche/about-kauche
カウシェのミッション・ビジョンスライドです。イラスト型の基本形として、左右半々の分割から始めるのが安全です。
左半分に「世界一楽しいショッピング体験をつくる」という黒文字と説明文、右半分いっぱいに6本の手が中央で重なるフラットイラスト。文字側はモノトーンに徹し、色をすべてイラストに預けているのが判断の良いところです。オレンジ、黄、紫、緑、青のボーダーと、腕の色数はかなり多いのですが、文字エリアに色がないので画面全体は破綻しません。イラスト自体も、爪の色や腕時計、ブレスレットまで1本ずつ描き分けられていて、「世界一楽しい」という言葉に具体的な人の気配を与えています。

引用元:https://pdf.irpocket.com/C4385/KKjE/KFan/Beyk.pdf
メルカリのミッション・ビジョンスライドです。イラストが装飾ではなく、ミッションの言葉そのものを形にしています。
「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」という一文に対して、イラストは水色の軌道で∞(無限大)の形を描いています。循環という言葉が、閉じずに回り続ける形として置かれている。軌道の上には靴、カメラ、本、コインといった商品アイコンが散り、中央には車椅子の人、高齢者、子ども、肌の色の異なる人が並んでいます。「あらゆる価値」を軌道上のモノで、「あらゆる人」を中央の群像で描き分けているため、一文の前半と後半がそれぞれ絵になっています。文字は下部に1行と英訳のみで、イラストの説明に回っていません。

引用元:https://www.plazacreate.co.jp/wp-content/uploads/2023/12/tekijikaiji_20231219.pdf
プラザクリエイトのミッション・ビジョンスライドです。イラスト型をどこまで振り切れるかの答えで、一本取られました。
「みんなの広場をつくる。」というミッションに対して、画面の3分の2を使って広場そのものを描いてしまっています。プリント工房、フォトスタジオ、モバイルショップ、コワーキングオフィスといった自社の事業が建物として並び、そこに100人以上の人物、噴水、恐竜のオブジェ、そして「みんなの広場をつくる。」の横断幕を引く飛行船まで描かれています。線画中心で彩度を抑えているため、これだけ描き込んでも右側の文字エリアを邪魔しません。「広場」という抽象語を定義で説明する代わりに、行ってみたくなる場所として見せる判断です。
パーパス、ミッション、ビジョン、バリューと掲げるものが増えてくると、並べるだけでは関係が伝わりません。図で上下や重なりを示す型の出番です。

引用元:https://speakerdeck.com/mediaaid2021/mediaaid-company-deck-20250305
MediaAidのミッション・ビジョンスライドです。階層型の基本形はピラミッドで、まずこの形から始めると迷いません。
PURPOSE、MISSION、VISIONを3段のピラミッドにし、右側に各段の文言を並べています。この一枚で参考にしたいのは文章量の差をそのまま段の高さに反映している点です。PURPOSEは「すべての人に、必然の出会いを。」の1行のみ、MISSIONは5行、VISIONは9行と下に行くほど長くなり、ピラミッドの段の高さも同じ比率で大きくなっています。図と文章が同じリズムで動くので、目線が左右に往復しても迷いません。紫の濃淡も上段ほど濃く、抽象度の高さと色の濃さが対応しています。

平和不動産のミッション・ビジョンスライドです。MediaAidの3段に対して4層あり、しかも各層が何を指すのかの定義まで載せています。
パーパス、長期ビジョン「WAY 2040」、大切にする価値観、基本方針の4層を、網点で塗られた立体の四角錐で表現しています。特徴的なのは3カラム構成で、左が図、中央が実際の文言、右がグレーの小さい文字で「グループの存在意義です。私たちは何のために社会に存在するのか〜」というその層の定義。読者は「パーパスとは何か」を知らなくても読み進められます。立体で描いたことで下層ほど面積が大きく見え、土台の広さが直感的に伝わるのも、平面のピラミッドにはない効果です。

引用元:https://speakerdeck.com/micoinc/mico-career-deck-japan
Micoのミッション・ビジョンスライドです。3つの要素があるとき、上下でなく重なりで示すという選択肢を教えてくれます。
Empower Every Brand、Build Lifetime Trust、Humanlike Technologyの3つを、線だけで描いた円のベン図にしています。ピラミッドにすると優先順位が生まれてしまいますが、ベン図なら3つは対等なまま、中心で交わっていることだけが伝わります。円は塗りなしの線画で、色は青1色。文字が円の内側にあっても読めます。左側には「わたしたちが描きたい未来」という見出しと、同じ青のキャラクターイラストが置かれ、右側の理屈っぽい図と釣り合いを取っています。図と文字とイラストが同じ青で統一されているので、要素が3種類あっても1枚に見えます。
今回は「ミッション・ビジョン」の高品質なスライドを15つ紹介しました。全画面タイポ・二分割並置・写真背景・イラスト・階層図の5つは、掲げている言葉の長さと、手元にある素材で選ぶものが決まります。まず自分の条件を確かめてから型を1つ選ぶと、作業がぐっと速くなります。
まだもう少し別のデザインを見たい!という方は、ミッション・ビジョンのスライドデザイン一覧もご覧ください。
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