記事更新日:2026年08月04日
記事公開日:2024年04月28日
ウェブ上に公開されている資料の中から、福利厚生のデザインが優れているスライドを10枚選びました。
この記事では、事例を「おしゃれ/シンプル」のような印象ではなく、レイアウトの型で5つに分けています。福利厚生のスライドで差がつくのは配色やフォントよりも、「制度が何個あるか」と「制度の数以外に出せるものがあるか」だからです。制度を20個並べられる会社と、制度は普通だけれど取得率を出せる会社では、選ぶべき型が変わります。
「もっと福利厚生のスライドを見たい!」と言う方は、福利厚生のスライドデザイン一覧もご覧ください。
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まず、5つの型の使い分けを整理しておきます。制度がいくつあるか、そして制度の一覧以外に出せる材料があるかで、選ぶ型が決まります。
| 型 | 得意なこと | 向いている場面 | 必要な素材 |
|---|---|---|---|
| アイコンカード型 | すべての制度を対等に見せる | 制度が6〜10個で、どれも押したいとき | 制度名と1〜2行の説明 |
| カテゴリ分類型 | 数が多くても読者を迷わせない | 制度が15個以上あるとき | 制度をまとめる分類軸 |
| 写真併載型 | 制度が使われている空気を伝える | 制度数は少ないが、職場の雰囲気で押したいとき | 社員・職場・制度利用シーンの写真 |
| 数字・実績型 | 「本当に使えるのか」に答える | 取得率や利用実績を数字で出せるとき | 取得率・利用人数などの実データ |
| 思想・基準先行型 | なぜその制度なのかを伝える | 制度の数で他社に勝てないとき | 制度を選んだ基準・考え方 |
迷ったら、上から2つは「制度をどう並べるか」の型、下の3つは「制度の一覧以外で何を見せるか」の型だと考えてください。制度の数で他社に見劣りするなら、下の3つに逃げ道があります。
制度1つを1枚のカードに収め、アイコンと制度名と短い説明をセットで並べる型です。もっとも使われている形で、制度が6〜10個あるときに収まりがよくなります。

引用元:https://speakerdeck.com/lapras/lapras-company-profile
LAPRASの福利厚生のスライドデザインです。この型の基本形にして完成形といえる1枚。
淡いグレーのカードを4列×2行で8つ。各カードは「紺一色のベタ塗りアイコン」「制度名の太字」「説明3行」の3段構成で、8枚すべて同じ順番・同じ文字サイズです。アイコンの色を制度ごとに変えたくなるところですが、全部を紺の1色で統一しているので、8枚が1つのまとまりに見えます。
カードの上には「フルリモート環境下で誰もが安心して働ける福利厚生・社内制度を目指します。」という一文。バラバラの8制度に共通の目的を与えているのはこの一行です。
並び順にも意図があります。上段は「書籍購入制度」「Rest as Work制度」「choiRAS(チョイラス)」「La-plus制度」、下段は「備品貸出制度」「休暇制度」「慶弔見舞金制度」「フルフレックス制度」。上段はLAPRAS独自の造語の制度、下段はどこの会社にもある制度です。読者の視線は左上から動きますから、目新しい制度から順に目に入ることになります。説明も「毎月5000円を会社から補助」「各メンバーが毎週400円分のポイントを感謝を込めて好きなメンバーに送ることが可能」と、金額まで具体的に書かれています。

モベンシスの福利厚生のスライドデザインです。LAPRASと同じ「アイコン+制度名+説明」の構成ですが、カードの枠を完全になくしています。
濃紺の背景に、イラストとテキストの組を2列×3行で置いただけ。枠がないのにブロックが分かれて見えるのは、イラストとテキストの間隔よりも、ブロック同士の間隔をはっきり広く取っているからです。区切りは図形ではなく余白でつくれます。
イラストがアイコンではないところも見どころです。「部署内クォーター会食支援」には乾杯するグラスと手、「ウェルカムランチ」には食卓を囲む5人、「産休・育休制度」にはベビーカーを押す夫婦、「誕生日手当」にはケーキと飾り付けをする2人。記号ではなく場面を描いているので、制度名を読む前に何の話かが分かります。
そして「産休・育休制度」だけ、説明の1行目が「育児休暇取得率(男女):100%」という太字の数字になっています。6つの制度紹介の中に1つだけ実績を混ぜている。この1行があるかないかで、産休・育休制度の重みは変わります。
制度をカテゴリでくくって並べる型です。制度が15個を超えてカードに収まらなくなったら、この型に切り替えます。読者は自分に関係あるカテゴリだけを読めます。

引用元:https://speakerdeck.com/miyasho88/we-are-hiring
SmartHRの福利厚生のスライドデザインです。色分けの手本といえる1枚。
5行の表で、左列にカテゴリ名を置いています。「働きやすさ等」がオレンジ、「育児サポート」が紫、「コミュニケーション活性化」がティール、「スキルアップ・成長促進」が青、「季節モノ」が赤。すべて濃いベタ塗りに白抜き文字です。
5色も使って散らからないのは、右側の制度が並ぶ領域の背景を、左のラベルと同系色の淡い色にしているからです。オレンジのラベルの行は淡いクリーム、紫の行は淡い藤色。ラベルと中身が色でペアになっているので、行を横に追う目線が迷いません。右側はさらに点線1本で2列に割ってあり、1行に4項目まで入るようになっています。
やられた、と思ったのは金額の書き方です。全11項目のほぼすべてに数字が入っています。「リモートワーク手当(+5,000円/月)」「リモート環境を整える手当(入社時に25,000円)」「引越手当(オフィス近くに引っ越すと10万円支給)」「部活制度(1人 1,500円補助/回)」。制度名だけでは他社と比較できませんが、金額まで書けば読者はその場で判断できます。
そして適用条件は表の中に書かず、下の注記に逃がしています。「※1 通勤時間が30分以内の距離になる方が対象」「※2 従業員1人につき、法定休業と別にお子さまの人数×5日/年」。条件を表に書き込むと行の高さが崩れるところを、注記に出して表を軽く保っています。

引用元:https://speakerdeck.com/diprecruit/deitupuzhu-shi-hui-she-hui-she-shuo-ming-zi-liao
dipの福利厚生のスライドデザインです。SmartHRが色で分けたのに対して、こちらは色をまったく使っていません。
上部にオフィスの横長写真を1本敷き、中央に「働き方・福利厚生」、その下に3カラムの箇条書き。カテゴリ見出しはグレーの太字で「柔軟な働き方を支える制度」「ライフイベントを支える制度」「ライフプランを支える制度」。制度は中黒付きで、3列合わせて21項目。罫線も囲みも色分けもありません。
21項目はSmartHRのおよそ2倍の量です。この数を5色で塗り分けたら画面が騒がしくなります。だから色を捨て、カテゴリ見出しの語尾を「〜を支える制度」で揃えることだけで整理しています。文字と余白だけで21項目をさばいた1枚です。
カテゴリの切り方も見事です。「柔軟な働き方(いま)」「ライフイベント(数年内)」「ライフプラン(定年まで)」と、時間軸の長さで左から右に並んでいます。目線が右へ動くほど遠い未来の話になるので、読者は自分がいまどの段階かで読む列を選べます。「RS(譲渡制限付き株式)」「DC(確定拠出年金)制度」と略語に正式名称を添えているのも、読者を選ばない配慮です。
制度のリストと写真を1枚に同居させる型です。制度の数で押せないとき、写真が「この会社で働くとどうなるか」を補います。

引用元:https://speakerdeck.com/campfire/zhu-shi-hui-she-campfire-hui-she-shao-jie-zi-liao
CAMPFIREの福利厚生のスライドデザインです。右の3分の1にノートPCに向かって笑う社員の写真、左に白い角丸カードを8枚並べています。
うまいのはカードの置き方です。カードの幅を中身の長さに合わせてバラバラにし、1行あたりの枚数も変えています。1行目は「社会保険・労働保険完備(労災保険・雇用保険 健康保険・厚生年金)」の横長カードが1枚だけ。2行目は「完全週休2日」「育休産休制度(実績あり)」「副業兼業可能」の3枚。3行目は2枚、4行目と5行目はまた1枚ずつ。幅も枚数も揃えていないので、硬いリストではなくタグが散らばっているように見えます。
さらに、カードの右端が写真の領域に少し重なっています。左のテキストと右の写真がきっちり分かれていないので、2つの要素が1枚の絵としてつながります。チェックボックスは赤の線画で統一し、色を使っているのはこのチェックだけです。
そして「育休産休制度(実績あり)」の(実績あり)。この4文字が入っているかどうかで、制度があるだけの会社との差がつきます。

引用元:https://speakerdeck.com/kitchhike/kitchhike-company-deck
KitchHikeの福利厚生のスライドデザインです。CAMPFIREと同じ写真併載型ですが、写真の選び方が違います。
左半分は、古民家の縁側で大人4人と子ども2人が皿を持って食事を囲んでいる写真。オフィスでも会議室でもありません。これはKitchHikeの独自制度「保育園留学」が使われている現場そのものです。CAMPFIREが「社員が働く様子」を撮ったのに対し、こちらは「制度が使われている場面」を撮っています。
右半分は白背景の箇条書きですが、8項目に強弱がついています。前半5つ(厚生年金・健康保険・雇用保険・労災保険/定期健康診断/個人PCの貸与/通勤交通費/在宅勤務手当)は1行ずつ淡々と流す。後半3つ(「保育園留学」「NIPPON LOCAL FOOD GIFT」「ワーケーション費用補助」)だけ制度名をカギ括弧付きの太字にし、その下に字下げして説明を1〜2行付けています。
一般的な制度は流し、独自制度だけ立てる。しかもその独自制度の1つが左の写真になっている。読者は写真を見てから右を読み進め、「保育園留学」の行に来たところで最初の写真が回収されます。「(体験談レポート作成に協力いただきます)」と、利用者に求めることまで書いてあるのも誠実です。
制度の一覧ではなく、その制度がどれだけ使われているかを数字で見せる型です。読者が本当に知りたいのは「制度があるか」ではなく「自分が使えるか」なので、出せるデータがあるならこの型がもっとも強くなります。

引用元:https://speakerdeck.com/roxxrecurit/we-are-hiring
ROXXの福利厚生のスライドデザインです。この型の完成形といえる1枚。
左半分に在宅で作業する男性の写真、右半分が薄いグレーの面。右の主役は2つのドーナツグラフです。「女性取得率」「男性取得率」と見出しを置き、黄緑の輪の中に人物アイコン、中央に「100.0%」「70.6%」。男性側は輪の右上が淡い黄緑で欠けているので、7割という数字が形でも読み取れます。
その下に太字2行で「女性・男性共に取得実績があり、現在も数名取得中」「産休・育休を取得しやすく、育休3年制度もあり」。さらに下に白いカードが3枚並び、「妊娠理由の退職 0人」「役員の産休・育休取得 実績あり」「出産お祝い金制度」。
この中でいちばん強いのは「妊娠理由の退職 0人」です。取得率はまだ制度の話ですが、退職者が0人というのは結果の話。制度を用意した先に何が起きたかまで書いています。
そして左下に小さく「※ 2025年8月1日時点(業務委託、外部役員、休職者を除く)」。いつ時点で、誰を分母から外した数字なのかが書いてあります。この注記があるから100.0%が信用できる。数字を出すなら条件も出す、を守った1枚です。制度名は最後まで1つも書かれていません。

引用元:https://speakerdeck.com/akippa/akippazhu-shi-hui-she-company-deck
akippaの福利厚生のスライドデザインです。ROXXが会社全体の実績を出したのに対して、こちらは社員2人の1日を出しています。
扱っている制度は「スーパーフレックスタイム制」の1つだけ。右半分にオフィスで談笑する社員3人の写真、左に白いカードを置き、「柔軟な時間管理で、最大のパフォーマンスを」というコピーに黄色のマーカーを引いています。説明は「2025年4月より全社でスーパーフレックスタイム制を導入しました。5:00〜22:00をフレキシブルタイムとし、出退勤や労働時間は各自の裁量で調整できます。(※コアタイムはありません)」。いつ制度を変えたかまで書いてあります。
そして下半分が本題です。「マーケティング部門 Aさんの場合」「コーポレート部門 Bさんの場合」として、6:00から22:00の帯の上に、実際の稼働時間をシアンで塗ったバーが2本並んでいます。
Aさんは10:00〜13:00と14:00〜19:00の2ブロック。ごく標準的な働き方です。対してBさんは6:00〜8:00、9:00〜12:00、15:00〜17:00、19:00〜20:00の4ブロックで、8時台・12時から15時・17時から19時が空いています。送り迎えや家事に充てている時間だと読めます。
「コアタイムなし」と文字で書くだけなら他社もやります。この2本のバーは、その制度で実際にどんな1日が組めるのかを見せている。特にBさんの細切れの帯は、育児中の読者にとって求人票の何行より雄弁です。
制度の一覧を出す前に、「なぜこの制度を選んだのか」を先に見せる型です。制度の数でも実績の数字でも他社に勝てないとき、ここに逃げ道があります。

引用元:https://speakerdeck.com/stract/stract-company-deck
STRACTの福利厚生のスライドデザインです。左半分をまるごとメッセージに使った、思い切りのいい1枚。
左半分は黒。上に小さく「Working Environment / 人事制度・福利厚生」と置き、下に大きな白文字で「STRACTはメンバー一人ひとりが働きやすい環境や福利厚生の制度を提案し、共に築いていくカルチャーがあります。」左半分の面積のほとんどが、この4行のためだけに使われています。
見どころは右半分の構造です。上に「基本的な人事制度」としてグレーのボックスに7項目(フレックス・タイム制、社会保険・労働保険完備、完全週休2日、夏季/年末年始/有給/慶弔休暇、育休産休制度、交通費全額支給、ストック・オプション制度)。その下に青い丸の「+」と横線。そして「メンバーの提案から生まれた制度」として5枚のカード(ハイブリットワーク制度/学び費用支援制度/希望スペックPC貸与制度/メンバー健康支援制度/入社時特別休暇5日付与制度)。
制度を「会社が用意した基本」と「メンバーが提案して生まれたもの」に分けている。この分け方があるから、左の「共に築いていく」というメッセージが飾りではなく事実の説明になります。制度一覧そのものが、書いてある思想の証拠になっている構成です。2つのグループの間に「+」を1つ置いているのも巧みで、並列ではなく積み上げだと1文字で伝えています。
基本制度の側には「※コアタイム11時〜15時」「※正社員対象」「※上限3万円」と条件が小さく添えられています。思想を語りつつ、事実の精度は落としていません。

引用元:https://speakerdeck.com/ixyas/ikusiasuzhu-shi-hui-she-hui-she-shao-jie-zi-liao
イクシアスの福利厚生のスライドデザインです。STRACTが思想を文章で書いたのに対し、こちらは選定基準を図にしています。
上に大見出しで「社員が最大限の力を発揮できるようにするため、『迷わず・疲れず・成長できる環境』を整えることを目的に選定」。左に淡い緑の円が3つ重なったベン図があり、「生活の安心をサポート」「柔軟にアップデート」「成長の促進」の3つ、重なった中心に「選定軸」と書かれています。各円の下には2〜4行の説明が付き、たとえば「柔軟にアップデート」には「制度が硬直化しないよう、制度もプロダクト同様に『社員が提案して実現する』仕組みを反映」。
右は淡い緑のボックスの中に、破線1本で区切った2列。「休日・休暇」が9項目、「福利厚生」が6項目の、ごく普通の箇条書きです。
正直に言うと、右の一覧だけを見れば他社と大きく変わりません。「完全週休2日制(土日)」「祝日」「年末年始休暇」。強いのは左の3円のほうで、この会社が何を基準に制度を選んでいるかが先に分かることです。読者は右の一覧を、ただの制度リストではなく「その選定軸に照らして選ばれたもの」として読むことになります。「迷わず・疲れず・成長できる」という3語も短く、覚えて帰れます。
今回は「福利厚生」の高品質なスライドを10つ紹介しました。
5つの型を見てきましたが、前半2つと後半3つでは性質が違います。アイコンカード型とカテゴリ分類型は制度をどう並べるかの型で、制度の数が多い会社ほど有利になります。一方、写真併載型・数字・実績型・思想・基準先行型は制度の一覧以外に何を見せるかの型で、制度の数で勝てない会社の武器になります。
とくに強かったのは数字・実績型でした。ROXXの「妊娠理由の退職 0人」も、akippaの社員2人の勤務時間バーも、制度名を100個並べるより雄弁です。福利厚生のスライドで読者が知りたいのは制度の一覧ではなく、その制度が本当に自分に使えるのかだからです。手元に取得率や利用実績のデータがあるなら、制度を並べる前にそちらを出してください。
まだもう少し別のデザインを見たい!と言う方は、福利厚生のスライドデザイン一覧もみてくださいね。
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